2010年代

スフバートル広場南の公園に日本の平和団体寄贈の「平和の鐘」
スフバートル広場南の公園に日本の平和団体寄贈の「平和の鐘」

ウランバートル2015年秋 4

ぶらり街歩き

 

 ウランバートルの街を見て歩くのも面白い。それほど広い街ではないので、中心部は徒歩でも十分だ。

 交通事故の多発により交通の取り締まりや安全意識が強まったのか、安心して道を渡れるようになった。12年前は、歩行者におかまいなく車が右折したりするので怖かった。今、中心部には歩車分離式の信号機が設置されている交差点もある。

 都市の美化・緑化が進み、街並みは一段と美しく整備されている。WiFiが設置されている公園もある。ただ、ときおり野良犬に出くわす。飼い犬だったのか、いなかの犬と違い、いたって大人しい。

 飲食店や商店と並んで、歯科医院、美容院、司法事務所などがずいぶん増えている。

 書店は多いとは言えないが、「インテルノム」書店やノミン百貨店の書籍売り場など、大きな書店に入ると、活発な出版状況がわかる。ただ、本は他の物価と比べ高い。単行本で1万~2万Tか。外国語教本、ビジネス書、歴史、翻訳小説、法律関係などのコーナーが目につく。村上春樹はここでも人気なのか、『IQ84』がたくさん並んでいた。

 

 

平和通りを走るトロリーバスと、モンゴルでは珍しい地下道
平和通りを走るトロリーバスと、モンゴルでは珍しい地下道

バスの乗り方

 ちょっと足をのばすなら、バスまたはトロリーバスが便利で安上がりだ。

 乗車口は前方で、運賃は先払いのワンマンバスだ。カードシステムが導入されているが自動両替機はなく、おつりはくれない。おつりがなくてもいいように運賃500T(トグルク)は用意しておきたいが、なくても何とかなる。500T札を握りしめて乗り込むと、後ろの女性が1000T札しか持っておらず「いっしょに」と言ったので、500Tを女性に渡した。

 混雑しているときは早めに降車口に移動したい。混雑時はなかなか進めず、一度降りそびれてしまった。「ボーヤー(降ります)」と大きい声で言い、周りも言ってくれたのに、運転手は無情にも発車。思わず「何よ」とモンゴル語で言ってしまった。

 混雑時はスリにも注意。「社会主義」時代からスリ集団がいるとの噂があり、留学中の80年代、街で3回ほどスリの被害に遭った。気づいたのは部屋に戻ってからだった。

 

国立博物館
国立博物館

博物館めぐり

 

 市内観光の中心はやはり博物館。国立博物館、ボグドハン宮殿博物館を久々に見て、政治粛清犠牲者記念館、ジューコフ記念館を初めて見学した。

 国立博物館は1924年設立。古代から現代まで、何度来ても見応えがある。今回はちょうどフビライハン生誕800年記念特別展を開催していた。モンゴル中国共同調査の特別展も興味深かった。「古代遊牧民とシルクロード」をテーマに2004年から10年間にわたる発掘調査を詳しく紹介していた。匈奴時代の墓、北魏時代の四方形墓やライオン像などが新たに発見されている。

 

ボグドハン宮殿博物館
ボグドハン宮殿博物館

 ボグドハン宮殿博物館はモンゴル最後の皇帝、第8代ジャブダンダンバ・ホトクトの寺院、冬の宮殿として1893年から1905年にかけて建造されたもの。見どころはザニバザル作の仏像など仏教美術であろう。

 

 

ジューコフ記念館
ジューコフ記念館

 旧ソ連の軍人、G・K・ジューコフの功績を伝えるジューコフ記念館は1979年8月開館、2007年12月にリニューアルオープン。ジューコフは1939年のノモンハン事件(モンゴルではハルハ河戦争と呼ぶ)を指揮し、第二次世界大戦でも活躍した。パネル展示を見ても、ハルハ河戦争では周到な作戦や構えで日本軍の侵略を撃退したことがわかる。

 政治粛清犠牲者記念館については後ほど詳しく紹介したい。

 自然史博物館は残念ながら改修で閉館していた。改修は大がかりなもので、リニューアルオープンは2年後になるだろうと聞いた。モンゴル各地で発掘された恐竜の化石が迫力満点で展示されるのではないかと期待する。

 

団地の中の大衆食堂のスーテイツァイ(モンゴルミルク茶)とボーズ(モンゴル焼売)。安くておいしかった
団地の中の大衆食堂のスーテイツァイ(モンゴルミルク茶)とボーズ(モンゴル焼売)。安くておいしかった

食べ歩き

 

 ゲストハウスでは朝食だけなので、昼と夜は街の飲食店で食事。いろんな料理の店があるので困ることはない。しゃれたカフェが結構増えているが、人がよく入っているのは大衆的な店。

 何気なく入った大衆食堂のスーテイツァイ(モンゴルミルク茶)、ボーズ(モンゴル焼売)がおいしかった。ファーストフード店「ハーンボーズ」でも、ボーズ、ホーショール(揚げ餃子)などモンゴル料理が安く食べられる。

 

日本食とケーキの店「サクラ」(左)
日本食とケーキの店「サクラ」(左)

 サーカス場近くの「サクラ」は手ごろな値段でおいしい日本食とケーキを提供していて、モンゴル人にも大人気。経営者は日本人で、聞くと開店して12年になるとのこと。家族連れやカップルがひっきりなしに来店し、鶏の唐揚げ定食や鍋焼きうどんなどを注文していた。

 百貨店の食品売り場やスーパーマーケットでは野菜や果物も豊富にあり、食品の品揃えは日本とそう変わらないと思えるくらいだ。日本産のお茶、インスタント味噌汁、真空パックの豆腐も売っていた。乳製品は一段と種類が多くなっている。

 バラエティーに乏しかった30年前の食とは隔世の感がある。

 

(2016年3月)